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ChatGptにヒロアカの二次創作書かせてみた
2025-03-21 00:09:48
ヒロアカ見たことないけど、ChatGptにヒロアカの二次創作書かせてみた。 以下の物語は、あくまでフィクションによる二次創作小説であり、実在の人物および作品の著作権や設定とは一切関係がありません。史実上の事件や登場人物の行為を正当化・推奨する意図もありませんので、あらかじめご承知おきください。 高層からの死神 ――ネバダ州、ラスベガス。砂漠のただなかに浮かぶ光の街は、いつもと変わらぬ熱気と喧騒に包まれていた。しかし、その華やぎを大きく引き裂くように、夜空を震わせる連続音が響きわたる。短く鋭い金属的な衝撃音。それが繰り返し遠くから聞こえてきたとき、誰もがはじめは花火か何かと思った。だが、すぐにその音の正体が悲惨な事態をもたらす凶器の怒号であると知り、人々の悲鳴と混乱が街を包んでいく。 1. ビルを撃つ者、地上に散る者 ホテルのロビーは数時間前まで、大勢の観光客であふれかえっていた。豪奢なシャンデリア、赤いカーペット、噴水のように湧き出る人々の笑い声。しかし、今やそこには、瓦礫と壊れたガラス、そして血の匂いが漂う。エレベーター周辺を警官隊が封鎖し、救急隊員が走り回る。チップを渡していたはずのホテルスタッフは、今は呆然と立ち尽くすしかない。 32階――そこで何が起きているのか。詳しいことは分からない。だが、アサルトライフルのような強力な武器が連続射撃されており、既に多くの宿泊客や通行人が撃たれてしまっている。フロント係が震える声で「宿泊客がまだあの階にいるかも知れないんです!」と叫ぶ。その言葉さえ、銃声と悲鳴の奔流のなかでは、かき消されていく。 いくつものパトカーや救急車のサイレンが外で鳴り、ホテルの前には大勢の警官とSWATが集結していた。警察無線は絶えず混線し、応答が追いつかない。誰もが焦燥に駆られる中で、ビルの正面脇、警戒線の外にあって静かに人のいない路地に、ひっそりとした人影が忍び寄る。 細身の身体に、白髪がわずかに青みを帯びた青年。肌は不健康なほどに青白く、顔には疲労と興奮の入り混じった笑みが浮かんでいる。その男――死柄木弔は、日本からやってきた“ヴィラン”だった。彼の手には何も持たれていない。ただ両手だけがある。だが、この青年が持っている“個性”こそが、すべてを崩壊させる力そのものだ。 死柄木はホテル上空を見上げる。洒落たネオンサイン、煌々としたライトアップ。だが今は銃声がその上品な外観を陵辱するように響き、騒音と悲鳴が混ざって虚空を切り裂いていた。 「……なんだ、この茶番は」 死柄木は楽しむように、あるいは苛立つように、無意識に首を掻いている。砂漠の熱気と夜風が混ざる空気には、銃弾の焼け焦げたような臭いさえ混じっている。遠くには警官たちの怒号も飛んでいるが、彼は何も恐れていない様子だ。 本来の目的は別にあった。何かしらヒーローに関する情報――アメリカに流出した「個性研究データ」を回収するためにここへ来た。しかし、最悪のタイミングで最悪の“騒ぎ”に巻き込まれた形だ。だが、死柄木にとっては都合がいいかもしれない。混乱は自分が動きやすい状況をつくってくれるからだ。警察が目を凝らすのは32階の“犯人”ばかり。ヒーローがいれば厄介だが、少なくとも現時点では見当たらない。 「さて……どんな奴がやってるんだか」 死柄木は軽く肩をすくめ、ホテルの壁際を歩く。ホテルの正面エントランスはSWATが厳重に囲っている。正規ルートから侵入してはすぐに銃口を向けられてしまうだろう。しかし、こうした大規模ホテルには横道やスタッフ専用の搬入口がある。そこまで行けば警戒が手薄になる。現に、装飾の行き届いた正面とは対照的に、外壁がくすんだバックヤード付近には、簡単なロックしかされていないアルミ扉がひとつあった。 手を伸ばし、取っ手を握る。施錠されていたが、死柄木は躊躇なく指の力を込めた。指先が鍵部分に触れた瞬間、鍵内部がボロボロと壊れていく。控えめに“カリカリ……ボト”という音が響くと、扉はあっけなく開いた。 「ふん……こんなものか」 扉を開けた途端、内部の通路の照明が弱々しく死柄木を照らす。警戒する者は誰もいない。ホテルスタッフも避難してしまったのだろう。廊下の奥には宿泊客用ではない設備が並んでいる。がらんとした空気を感じながら、死柄木は通路を進む。 2. 暴力の始まり 一方その頃、32階に陣取るスイートルーム。スティーブン・パドックは、小型の監視モニター数台を並べ、ホテル内部の廊下やエレベーター、階段の様子を確認していた。いくつかの部屋に自作のカメラを仕掛けていたのだ。ホテルの備品やLANケーブルを駆使し、まるで簡易的な監視センターを作り上げていた。実際にラスベガスでのあの事件を彷彿とさせるような、彼の徹底した計画性がそこにはあった。 白髪まじりの頭髪。無表情ともとれる冷たい眼差し。呼吸さえ乱れていない。彼はホテルの窓を割り、そこからアサルトライフルを外へ向けて乱射していたのである。夜のラスベガス。遠くにはコンサート会場のような場所があったが、すでに散り散りになった観客が逃げまどう姿がわずかに見える。殺傷の規模は甚大であり、街の下はもはや混乱の渦だ。 「……あと何人くる?」 彼はひとりごちると、ライフルの弾倉を替え、窓際の三脚に銃を再セットする。バンプストックを装着したAR-15系ライフルを固定し、再び連射可能な状態にしていた。その銃の横にはAK-47系ライフル、さらに複数の銃が所狭しと並ぶ。弾薬箱も小山のように積んである。十分すぎる“火力”は、計画の段階から予測されたものだ。 「エレベーター……階段……うるさい軍隊が来るだろうが、俺には関係ない」 パドックはモニターを切り替える。カメラには、青白い髪の青年が映っていた。地下やバックヤードの搬入口ではなく、スタッフ廊下の一角に差し掛かったところだ。普段の宿泊客には関係のないエリアであるはず。SWAT隊もそちらまでは手が回っていない。いったい誰だろうか。パドックは不審に思うが、モニター越しでは軽く確認するだけだ。 「……誰でもいいが、ここに来るなら撃ち殺すだけだ」 パドックは機械的に呟くと、足元に置いたもう一丁の銃を点検する。彼は高度な軍事訓練を受けたわけではないが、独自の研究と準備を綿密に重ねていた。撃つ対象が何者だろうと、関係はない。全員“排除”する。それだけだ。 3. ホテル内部の迷路 死柄木が歩む通路は無機質だった。壁の色は白く、ところどころに荷台や清掃用具が置かれている。銃声は遠くで鳴り響いており、フロアの揺れをわずかに感じることさえある。いくつかの扉を開けるたびに、小部屋や倉庫のようなものが現れるが、人の気配はほとんどない。 彼は目的を思い出す。アメリカに来たのは、“ある男”――個性研究の技術を持つブローカーが、ヒーローの情報を売りつけているという噂を聞いたからだ。そのアジトがこのホテルのどこかに存在する可能性がある……という情報が死柄木の耳に入ったのだ。だが、この大規模テロじみた銃撃事件に巻き込まれ、事はすっかりややこしくなった。 「クソが。先にやらかしてる奴がいるなんてな……」 銃声の主。普通のギャングや犯罪者とは桁が違う。ホテルの上階からフルオート級の連射音を繰り返しているのだから、よほどの大量の弾薬と武器を持っているに違いない。そして、多数の死傷者を出す狂気を抱えている。死柄木も“ヴィラン”だが、ここまで無差別に撃ちまくる人間というのは、どこか異様だ。 「ま、いい。どうせ上に行きたきゃ奴を排除するしかなさそうだな」 死柄木はホテル内の階段を探す。途中で警備用のカメラらしきものがあるが、彼は意に介さない。仮に映されていても、相手が何をしようが、自分が壁ごと崩して突き進めばいいだけだ。軽く手を伸ばし、カメラが取り付けられた金属支柱に五指を触れる。すると瞬く間に支柱がボロボロと粉砕され、カメラは床に落ちて壊れてしまう。 「こういうのを、もっと徹底してやるべきだったんじゃないのか? おい、そこのクソ野郎……」 死柄木は誰に向けるともなく、ニヤリと笑った。 4. 警戒線を抜けるSWAT 時を同じくして、ホテル一階ではSWATチームが入念に装備を整えていた。隊員たちは黒い防弾ベストを着込み、アサルトライフルや盾を携えている。彼らは既に被害の大きさを目の当たりにし、戦慄していた。上階にいる犯人は普通ではない。大量の銃火器を所持し、しかも非常に高い位置から攻撃を仕掛けている。しかも廊下にカメラを仕込んでいる可能性が高い。突入は極度に危険だ。 しかし、やるしかない。放置すればさらなる被害が広がる。隊長格の男が厳しい表情で部下を鼓舞する。 「いいか、奴はおそらく32階のスイートに立てこもっている。廊下や客室にトラップを仕掛けている可能性もある。慎重にいくぞ」 隊員たちの中にはヒーローのような個性など持たない“ただの人間”しかいない。アメリカに“個性”が全くないわけではないが、ヒーロー制度が日本ほど整っているわけでもなかった。だからこそ彼らはプロの特殊部隊としてトレーニングを重ね、現代兵器を駆使する。 「……突入は最小限の人数で、かつ連携を崩さないようにする」 エレベーターを一括で止め、階段からの突入を計画する彼ら。だが、彼らがまだ知らない事実があった。ホテルの通路深くに、もう一人の“化け物”が潜んでいることを。 5. 異質の侵入者 死柄木は気づけば、20階付近の非常階段にいた。フロアを移動するたびに散発的な銃声が聞こえ、天井からは微かな震動が伝わってくる。警察の足音や怒号も遥か下の階から届いているようだ。彼らも上階を目指しているのだろうが、死柄木にとってはどうでもいい。 「……さて、だいぶ上がってきたが、あの野郎、どこだ」 彼はうっすらと不機嫌になる。エレベーターは止められていて使えない。だが階段から正面突破するのもつまらない。どうせ相手は待ち伏せしているのだ。死柄木はフロアの構造を思案する。アメリカのホテルは日本のそれほど多様ではない場合もあるが、壁越しに通気口や配管ルートがあるかもしれない。あるいは隣接する部屋を一気に破壊して隠れながら進む手もある。 「それにしても、こんなところでこんな無意味な殺戮をして……誰が得するんだか」 死柄木は自分の行動もまた似たようなものと思いつつ、軽く笑う。彼はヒーローを憎み、社会を壊そうとするヴィランだ。しかし、今耳にしている銃声は、「社会を壊す」目的というより、無差別の破壊衝動に近い。死柄木が最も嫌う“意味のない暴力”にも思えた。それが彼の苛立ちをさらに加速させる。 6. パドックの静寂 スイートルームの一室。窓が砕けた先から吹き込む熱い夜風が、パドックの髪をわずかになびかせる。彼は三脚に固定したライフルを一旦離れ、また別のライフルを手に取る。部屋の奥には弾薬やカメラモニターの映像が雑然と置かれ、床には空の薬莢が散乱している。 「……あいつはまだ下か。SWATも動きが遅い」 モニターには、非常階段を上がる警官隊の姿と、白髪の青年がスッと廊下を横切る姿がかろうじて映る。まるで自分の部屋を襲撃しに来るのを分かった上で、鷹揚に待ち受けているかのようだ。 「一人ずつ、片づければいい」 パドックは立ち上がり、ホテルの分厚いドアの前に置いたバリケードを確認する。入ってきた者を一瞬で撃ち殺せるよう、家具をずらし、射線を確保している。さらに爆発物めいたものまで準備していた。もし複数人がドアを突破してきたなら、容赦なく引き金を引く。もしくはワイヤートラップで一網打尽にする。 「どんな能力者だろうと、銃弾で沈むのが人間だ」 どこか達観したように小声で呟き、パドックは銃を置く。モニターを見ると、さきほど映っていた白髪の青年がカメラに手を伸ばし、次の瞬間カメラ映像がプツンと切れた。 「……消えたか」 だが、特に焦りは見せない。カメラが壊されようが、犯人が誰だろうが、パドックの“迎え撃つ”姿勢は一貫している。モニターが映らなければ、別のカメラや廊下を見渡せばいいだけなのだ。 7. 戦慄の破壊 「ゴォッ……!」 いきなり、パドックのいる部屋の壁の一部が、低い音とともに大きく歪んだ。外部から何かが衝撃を与えたのだろうか。分厚いコンクリートと配管が織りなす壁が、まるでシロアリに食いつくされたかのように、削れ、崩れていく。 「何だ?」 パドックは即座に銃を取って構え、壁に近づく。すると、そこには浅い穴のような亀裂が刻まれ、コンクリートの破片が舞っていた。まさか、外から崩壊してきているのか? あり得ない。だが、これが“個性”という超常の力の一端だと知る由もない。 「……侵入……?」 彼はドアを監視していたはずが、まさか壁越しにくるとは思っていなかった。パドックは動揺を隠せず、銃口をそこに向ける。その瞬間、さらに壁が粉々に砕け、青白い髪の青年が薄暗い破片の向こう側から姿を表した。 「お前が……やってるのか?」 死柄木弔――彼は赤い瞳でじっとパドックを見据える。部屋の壁を崩壊させたせいで、コンクリートの欠片が雨のように散っている。死柄木は少し肩で息をしていた。階段をひたすら上り、さらに壁を崩しながらの移動。自分自身でも無茶をしている自覚はあるが、無意味にドアを突入するよりはましだ。 「随分と派手に撃ちまくってくれたな……俺の邪魔をしてくれる」 死柄木が言葉を吐くや否や、パドックは一瞬の迷いもなくトリガーを引いた。3発、5発と高速連射され、耳をつんざく轟音がほとばしる。死柄木は咄嗟に身をひねって床に転がるように回避するが、完全にはかわしきれず、弾丸が肩をかすめた。鋭い痛みが走り、シャツの一部が赤く染まる。 「チッ……!」 死柄木は痛みで顔を歪める。初めて味わう、本物の銃創の衝撃。彼に防弾チョッキなどあろうはずもない。かすっただけでこのダメージ。まともに当たれば即死確定だ。 「ふっ……甘いんだよ。お前なんかただの人間だろうが」 パドックはさらに銃の引き金を引く。バンプストックによる連射が床を蜂の巣にし、弾丸が死柄木のいる位置へ嘶きながら飛び込む。死柄木は床を転がりながら、パドックとの間合いを一気に詰めようと試みた。近接さえすれば、“崩壊”で勝ちだ。 だが、パドックの銃撃はしつこいほど正確かつ容赦がない。死柄木がバリケードがわりに転がっていたサイドテーブルを押し倒すと、そこに何発もの弾丸がめり込んでいく。木片が飛び散り、彼の頬をかすめる。 「殺してやる……!」 死柄木が低く呟く。痛みや恐怖をねじ伏せるように、怒りを燃やす。自分こそが“崩壊”の能力者、触れたものを塵に変える破壊者だ。こんな銃などに負けるわけにはいかない。しかし、アメリカの現実は甘くない。連射される銃撃は距離を詰めさせないまま、死柄木の身体を狙い続けてくる。 「あと少し、あと数メートル……」 死柄木は崩れた壁の破片を一気に掴み、パドックの方へ投げつける。その破片は軽いコンクリ片であり、パドックの銃撃に対しては無意味に等しい。だが、一瞬でも視界を遮れればいい。部屋は広く、家具が散乱しているが、遮蔽物としては心もとない。ただ、机やソファが死角を作る形になれば、そこで射線を切ることはできる。 弾倉が空になった瞬間、パドックが素早くリロードに入る。弾薬は部屋にいくらでも用意されている。死柄木はその一瞬の隙を見逃さない。転がるように距離を詰め、腰を低くしてパドックに突進する。 「そこだっ……!」 パドックがリロードを完了する前に、死柄木は彼の腕を掴もうと手を伸ばす。しかしパドックも逆手にハンドガンを持っていた。素早く構え、死柄木の顔面付近に発砲。閃光が走り、耳鳴りがする。銃声に混じって死柄木の悲鳴が響く。弾はわずかにそれ、頬をかすめて深い傷を残しただけだったが、もしあと数センチずれていれば頭蓋を貫通していた。 「クソがッ……!」 顔から血が滴る死柄木。だが、それでも指はパドックの腕にかかっていた。四本、五本――確実にパドックの肌に触れようとする。 「あ……?」 パドックの目に、一瞬困惑の色が浮かぶ。触れられただけで何か嫌な直感が働く。だが彼はなおも抵抗して銃口を死柄木に向ける。死柄木も必死に銃口をそらそうと腕に力をこめる。激しい力比べ。しかし死柄木の腕力が、経験豊富な成人男性に勝っているわけではない。むしろ死柄木のほうが劣る。だが、死柄木には“個性”がある。 「崩れろッ!」 死柄木がそう念じて五指をピタリとパドックの前腕に押し当てた瞬間、パドックの腕に衝撃が走る。まるでウイルスに侵食されたように、パドックの皮膚と筋肉が灰色がかった色へと変わり、ボロボロと剥がれ落ち始める。身体を崩壊させる力。普通の人間ならここで絶叫して倒れ込むはずだ。 しかし、パドックはほんの一瞬こそ歪んだ表情を見せたが、驚くほど冷静にもう一方の手で銃を引き上げる。崩壊の痛みよりも、死柄木を撃ち殺すことを優先したのだ。引き金に指をかけ―― 「グァアッ……!」 けれども、耐えきれなかった。骨が砕け、筋肉が崩壊し、銃を引くための力が抜け落ちる。右腕全体がボロリと崩れていき、床に灰のような破片が散乱する。反撃不可能の状態に追い込まれたパドックは、それでも最後の悪あがきのように左手を動かす。 「ヤロウが……!」 だが、その左手も死柄木が必死の形相で掴んでいた。崩壊は連鎖するように広がり、腕、肩、そして胴体へ――。 「ぐあ、ああああああああっ!」 初めてパドックは叫んだ。人間離れした痛みが全身を襲う。死柄木は血にまみれながら笑みを浮かべる。これが“崩壊”の力、触れれば粉砕される。パドックとて、いくら計画を立てようが、この超常能力に対してはどうしようもなかった。 やがて、パドックの身体は床に伏すように崩落した。まるで彫刻が砕けたかのように、“ヒト”としての形を失っていく。死柄木がその手を離すころには、パドックの上半身はほとんど原形をとどめていなかった。 静寂が訪れる。あれほど響いていた銃撃音は止んだ。破れた窓からは遠くのサイレンが聞こえる。死柄木は肩で息をし、崩壊した肉片や瓦礫が混ざる床を見下ろす。その光景に、死柄木はどこか呆れたようにつぶやく。 「これで終わりかよ。散々撃ちやがって……」 彼の服は血まみれ、身体中に痛みが走る。顔の頬からは止まらない血が滴っている。救急処置をする余裕などない。まずはこの部屋を捜索して、情報を回収しなければならない。いや、それどころか、このままでは警察の突入が時間の問題だ。 「チッ……どこにあるんだ? あのブローカーの資料……」 死柄木は荒れ果てたスイートルームを見回す。銃が散乱しているが、そんなものは要らない。机やテーブルの上にはノートPCらしきものもあるが、パスワードが必要かもしれない。パドックが用意したであろう大量の銃弾の山と、監視カメラのモニターが異様な雰囲気を醸し出している。 「くそっ……」 目的の情報がここにないのか、それともパドックがまったく無関係だったのか。死柄木は苛立ちを隠せない。これほどまでに激しい戦いをして、得られるものが何もないならば、ただの無駄足だ。部屋を大きく歩き回り、棚や鞄を引っ掻き回す。だが、目ぼしい書類やデータは見当たらない。あるのは銃と弾薬と、幾つかの食料品や薬の瓶。パソコンは起動にパスワードを要求してくる。 そのとき、廊下のほうで足音が聞こえた。SWATがこのフロアに到達したのか。わずかに聞こえる声は複数人だ。死柄木は苦い表情を浮かべる。自分はもう肩を撃たれているうえ、顔にも深い傷を負った。これ以上の戦いは危険すぎる。もしSWATが投擲型の閃光弾やガス弾を使えば、対処が難しい。それでも強行突破は可能だろうか? だが、さらに被弾すれば命の保証はない。 「仕方ねえ。逃げるしかないか」 死柄木は三脚に固定されたままのライフルを一瞥し、無言で視線を外す。下手に持ち運んでも重いだけだし、自分には合わない武器だ。崩壊の個性を駆使すれば、壁を壊して別の階へと飛び移ることだってできる。ホテルのこの階にはまだパニックで取り残された客室があるかもしれない。そこを経由して非常階段へ戻れば、別のルートから脱出できるだろう。 「……あばよ。こんな無駄な虐殺の塊め」 死柄木は崩れた壁の穴から身を翻した。パドックの死体の残骸は視界の端にちらつく。あれほど大量の銃を備え、周到に準備した男ですら、個性には抗えなかった。死柄木はその事実にある種の勝利感を覚えるが、それ以上に“あの凄まじい銃火力”にギリギリまで追いつめられたことを思い出すと、吐き気のような恐怖が湧き上がる。 8. 逃亡と暗闇 廊下へ出ると、警戒するSWAT隊員らしき人影が遠くに見えた。彼らはヘルメットと防弾シールドで固め、ゆっくりと部屋の一つ一つをクリアリングしているようだ。死柄木は血の流れる頬を押さえながら、静かに逆方向へ走り出す。人がいない客室のドアを崩壊させ、中へ飛び込む。ベランダへ出られれば、そこから隣室のベランダへ渡れるかもしれない。 窓を開ける。ナイトショーの残響と灼熱の夜風が吹き込む。下を見れば幾重にも張られた警戒線とパトカーの赤色灯。撃ち抜かれたガラスや落ちた破片が散乱している。死柄木は柵を乗り越え、隣の部屋のベランダへ移った。隙間は狭く、足を滑らせたら真っ逆さまだ。だが、ここで立ち止まるわけにはいかない。 「俺がやりたいのは、ただの破壊なんかじゃない。ヒーローどもに思い知らせてやるんだ……!」 人知れず自分に言い聞かせる。あれほど痛感したのは、自分の未熟さ。こうも簡単に銃で追いつめられ、危うく命を落としかけた。日本では味わったことのない恐怖が全身に纏わりつく。防弾能力も超スピードもない自分は、遠距離攻撃に丸腰のまま臨んだらどうにもできない。パドックとの死闘で、それが身に沁みた。 「アメリカだろうが、どこだろうが……俺がいずれ全部……壊す」 死柄木は歯を食いしばり、隣室の窓を強引に開けて中へ飛び込む。客室には誰もいない。散乱したシーツと、テーブルにこぼれた飲みかけのビールが、ここで突然何かが起きて客が逃げ出したことを示していた。彼はドアへ向かい、指先を当てるだけで一瞬で錠前を壊す。荒い呼吸を整えながら、さらに下層への階段を目指す。 いずれ警察がこの階に展開し、しらみつぶしに捜索するのは間違いない。自分が捕まるわけにはいかない。傷の痛みをこらえながら一歩ずつ廊下を走る。その行く手にはSWAT隊員が現れ、ライトの光が死柄木の姿を捕捉する。 「Freeze! Hands on your head!」 英語で怒声が飛んだ。死柄木が立ち止まるかどうかを見定める前に、隊員がこちらを銃で狙っているのがわかる。死柄木は瞬時に廊下の壁を掴む。ドン……ガラガラガラ……。コンクリートが急速に崩れ、亀裂が広がる。隊員は驚き、咄嗟に後退する。そこへ死柄木は身を翻して方向転換。倒壊しかけた壁の隙間を抜け、非常口へ急ぐ。隊員は慌てて引き金を引くが、壁の破片が視界を塞ぎ、弾丸は空を切った。 9. 虚しい狂宴の果て SWAT隊員は無線で必死に叫んでいる。「怪しい人物がいる! 異常な破壊力だ! 超能力か何かか……!」。しかし、混乱する現場では情報伝達がうまくいかない。ホテル内部は銃撃による被害、廊下の倒壊、パニックに拍車がかかった宿泊客の避難などが重なり、もはや制御不能の状態だ。 やがて、客室階段を駆け下りた死柄木は、奇跡的にSWAT隊の視界から逃れ、一階の駐車場へと抜けることに成功する。すぐ近くにはパトカーや救急車が集結しているが、そこは死角も多い。混乱に乗じて、人々が右往左往する中を紛れていける。 肩や頬の痛みが激しい。血が止まっていない。だが、何とか命はある。死柄木はふらつきながらも、路地裏へと足を運び、闇の中へ身を沈める。 「……最悪だ。何も手に入らなかった」 息を吐き出し、壁にもたれかかる。空は騒々しいサーチライトとヘリコプターが音を立て、遠くで人々の悲鳴が途切れない。まるで生々しい地獄絵図のような夜。死柄木はその夜の底で、自分の弱さを噛みしめる。 「あいつ……パドックとか言ったか。あんな非道な殺戮が……俺が『思い描く破壊』と何が違う? ……分からねえ」 死柄木は頭を振る。大量殺りくを楽しんでいたわけではない、と自分に言い聞かせる。自分はヒーローへの復讐が目的であって、誰彼構わず撃ち殺すような奴とは違う。あくまで自分なりの思想があるはずだ。でも、今の自分はどう映っているのか。そもそも海外に来ても、誰も自分を理解していないし、銃火器の前では自分の身体など紙切れのようだ。 「日本に戻るか……このままじゃヒーローどもに対抗すらできねえ」 そう呟くと、死柄木は痛みに耐えながら路地を歩き出す。警察の目を逃れ、闇の奥へと消え去る。流れ続ける血と引き換えに得たものは何もない。残されたのはホテルの高層階で崩壊した壁や瓦礫、そして“スティーブン・パドック”という大量殺りく犯の残骸だけ。 10. 余韻――世界が抱える狂気 翌朝、ニュースは混乱を極めていた。32階のスイートルームで発見された無数の銃器。そして犯人と思われる人物の変わり果てた姿。体の一部が粉々になっているという不気味な遺体。警察は爆発物によるものか、あるいは自爆かと推測するが、決定的な証拠がなく、原因ははっきりしない。さらにホテル内部の壁が妙に崩壊している箇所が複数見つかった。激しい爆発があったにしても説明がつかないほど局所的な破壊だという。不可解な“痕跡”は残るばかり。 一方で、死柄木弔の行方は分からない。誰も彼が日本から来たヴィランだとは認識していない。この不可思議な事件は、後にアメリカ当局が極秘裏に調査することとなる。「超常能力者の犯行かもしれない」という仮説が立てられ、関係者間で密かに報告書が回るが、公には伏せられることになる。 死柄木は深い傷を負ったまま、この街を出ていった。彼の中には消えない痛みと、ほんのわずかな“学び”が残っている。この世界には、無数の暴力が潜んでいる。自分の個性すら無力化されかけるほどの“銃”という現実。そこに潜む狂気は、自分が思い描いていた“破壊”とどこが違うのか。答えは、まだ見えない。 ――ただ一つ、確かなことは。 世界は広く、狂気と破壊は果てしなく深い。その深淵へと踏み込みながら、死柄木は己の“崩壊”の力を再度見つめ直す。いつかこの手でヒーローを、そしてこの社会を壊すと誓うために。だが、そのためにはもっと強くなり、もっと多くを知る必要がある。アメリカが教えてくれたのは、その厳しい現実だった。 ビルの谷間に光が差し込む朝。もう一度、銃撃の音は聞こえない。パドックがもたらした殺戮の痕跡は、膨大な犠牲者とともに歴史へと刻み込まれるだろう。だが、それを止めるヒーローは間に合わず、一人の日本人ヴィランがそれを仕留めた事実も残らない。残るのは、血と破壊の記憶だけ。 ――虚しさに満ちた、終わりなき夜の悪夢。その夜の片隅で、白髪の青年がいつか振り返ることになるかもしれない。自分を撃ち、追いつめた“現実”の重みを。いつか本当に“世界”を崩壊させるまで、死柄木弔の破壊衝動は終わらないのだ。